【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」 -3ページ目

指輪---その2---

で……30分ほどヒゲ帽子と勝負した頃ですかね……。

タロウ     「ちょっとコーヒー買ってくるわ。」

と自販機へ……。

小銭をポケットから鷲掴んで取り出して、缶コーヒーを買う。

タロウ     「そろそろ本気で行かせて貰っちゃいますよぉ~~。」

なんて、いつもの調子でヒゲ帽子に一言……。

50円玉をチャリーンと入れた瞬間に気が付いた……。














指輪が無い……。








もうね…………顔面蒼白














オシッコ出ちゃいそう……。

いやね……普通は結婚指輪って左手の薬指にするじゃないですか。

でも、水仕事なんで時々指輪の所が荒れてくる事があるんです。

で……数日前から右手の薬指にしてたんですけど……。


それがいけなかった。


左手だったら、レバーを持つ方なのでほとんど「グー」状態なんですけど……

右手だとボタン押す方なので指がそれなりに派手に動くんですよ。


多分熱中しててゲーム中に飛んで行っちゃったんじゃないかと……。


とりあえずヒゲ帽子に事情を話してゲームは一時中断。














ヒゲ帽子爆笑。



熱中ハイテンションをコーヒーで少しクールダウンするはずが……












ビックリするくらいクールダウン。


とりあえずゲーム筐体付近を探してみるんだけどない。


指輪って丸いから、とんでもない所にまで転がってる可能性もあるわけで……

ゲーム機の下に転がり込んでたら、それこそ一大事。


ウロウロオロオロと探してたら、店のおっちゃん登場。


おっちゃん  「何してんの?」

タロウ     「ああ……おっちゃん……実は指輪落としまして……。」

おっちゃん  「あらそう……。」


と一緒に探してくれる。


10分程探していると……


おっちゃん  「まぁ……出てきたら拾っておくよ。」


と安穏と……


タロウ     「いや……そういうわけにもいかないんで……。」

おっちゃん  「え?……そんなに高い指輪なの?」

タロウ     「いや……高いわけじゃないんですけど……結婚指輪なんです。」















おっちゃん爆笑


おっちゃん  「他の若い奴等にも声かけてくるわ。」


と笑いながら、常連のゲーム好きを総動員。

もうゲーム機を動かしての一大捜索スタート。




「すんません。すんません」と謝り倒しながら、一生懸命探すワタシ。




同じ指輪を無くすにしても……

例えば雪山で遭難して、友達の命綱を切るか指輪を捨てるかって状況とか……

例えば川で溺れている子供を助けた時に落としちゃったとか……


そういう状況だったなら、ユミコにも堂々と言えるんですけどね……

















「ゲーセンでゲームしてて無くした」なんて

死んでも言えない。















っていうか言ったら死ぬ。


必死で皆、探してくれてるんだけど出てくる気配なし



そこあそこで「あ。100円拾った」とか「俺500円拾った。ラッキー」って声は聞こえるんですけど

指輪が出てくる気配なし






どうする?



以下次号。